ポケモンGOの人気、凄まじいですね。平日の深夜なのにも関わらず、公園にスーツ姿の社会人がたくさんいる光景には違和感すら覚えます。
ここまで世界的に広がりを見せるポケモンGOは社会現象と化してますね。
そして、これだけの利用者がいると必ず起こるのがトラブルです。
歩きスマホ、自転車に乗りながらの携帯電話操作、挙句の果てには車の運転中にもポケモンGO・・・
連日、ニュースで話題になっています。
今回は歩きスマホで他人を怪我させた、自転車による事故、運転中のスマホ使用など、ポケモンGOによって引き起こされる可能性のある事例について弁護士の目線からリスクをお伝えします。
目次
歩きスマホで他人を怪我させた場合のリスク
例えば、歩きスマホをしていて、高齢者にぶつかり、高齢者が転倒してケガをしてしまった。という場合、
あなたには、「過失」があると判断されますので、治療費や慰謝料を賠償する責任が発生する可能性があります。
また、ケガの程度が重大な場合は、過失致傷罪(刑法209条1項)に問われる可能性があります。
その場合、法定刑は30万円以下の罰金又は科料となります。
自転車に乗りながら携帯電話を使用した際のリスク
ポケモンGOによって私が一番懸念しているのがこちらです。
歩きスマホについては、ポケモンGOが出る前からよく見かけましたし、問題視されていました。
しかし、ポケモンGOが出てから急速に街中で自転車に乗りながら携帯電話を触っている人を多く見るようになった気がします。
自転車は軽車両です。場合によっては相手に大きな障害を残すような事故につながる可能性もありますので注意が必要です。
過去にも自転車と歩行者の事故によって多額の賠償金が発生したケースが多く出ています。
2008年に起きた当時11歳の少年が運転する自転車と散歩中の60代女性の衝突事故では、加害者側に9,500万円の損害賠償支払いを裁判所が命じ、その翌年に加害者側は自己破産しています。
また、たとえ事故に繋がらなくても、自転車に乗りながらの携帯電話操作は、警視庁が喚起している危険行為14項目の中の「安全運転義務違反」にあたります。
違反を3年以内に2回以上繰り返すと、有料の自転車運転者講習の受講を受けなければなりません。
(※参考:自転車運転者講習制度|警視庁HP)
また、自転車運転の違反に対しては、交通反則通告制度がありません(いわゆる青切符がなく、即赤切符となります)ので、反則金の支払いで済ますことはできず、検察官による処分がなされることがあります。
なお、大阪府では自転車による交通事故が増加傾向にあり、高額な賠償請求事例も発生していることから、大阪府自転車条例として自転車保険の加入義務化が制定されています。(平成28年7月1日施行)
(※参考:大阪府/大阪府自転車条例)
車の運転中に携帯電話を使用した場合のリスク
車の運転中はそもそも携帯電話を使用してはいけません。
例え画面を見ていなくても、手に持って電話をしただけでも罰則があるのは周知されているかと思います。
それではどのような罰則があるのか説明します。
車の運転中に携帯電話を使用した時の罰則
車の運転中に携帯電話を使用すると「携帯電話使用等(保持)違反」となります。
これは携帯電話の使用によって、何ら交通上には影響がなくても(違反や事故を起こさなくても)関係ありません。
車の運転中に「携帯電話の画面を注視する」、「通話の為に携帯電話を使用する」をした時点でアウトです。
※なお通話行為においては手に持つことが違反対象とされていますので、イヤホンマイクなどを使ってハンズフリーの状態を保てば通話することは認められています。
「携帯電話使用等(保持)違反」を起こすと「5万円以下の罰金」に処せられます。
しかし、交通反則通告制度の対象となりますので、反則金6,000円と1点の点数加算によって処理されることになります。
では携帯電話の使用中に交通事故を起こしたら?
この場合は「携帯電話使用等(交通の危険)違反」となります。
これは上記の「携帯電話使用等(保持)違反」と何が違うのかというと、運転中の携帯電話使用によって交通に危険をもたらした場合になります。
つまり、携帯電話に夢中になるあまり、追突事故を起こした、スピードを出しすぎてしまった、信号無視をしてしまった、などの場合のことです。
「携帯電話使用等(交通の危険)違反」を起こすと「3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金」に処せられます。
ただしこちらも、交通反則通告制度の対象となり、反則金9,000円と2点の点数加算によって処理されることになります。
もちろん、交通事故によって何かを壊したり、相手に怪我をさせてしまった場合には、さらに治療費や慰謝料を賠償する責任が発生します。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
これは何もポケモンGOに限った話ではありません。
以前から歩きスマホの危険性や、車の運転中の携帯使用については言及されてきました。
いつでもどこでも手軽にゲームや電話やメールが出来る便利な時代ではありますが、何かが起こってからでは遅いのです。
しっかりとルールを守って楽しみましょう。