交通事故の被害者、加害者に限らず行わなければならないのが示談交渉。あなたは示談についてどこまで理解していますか?
あなたが自動車保険に加入している場合は、保険担当者が代わりに対応してくれるかもしれませんね。しかし、その場合でも全て保険担当者に任せてもいいのでしょうか。
また、場合によってはあなたの加入する保険担当者があなたの代わりに示談交渉をできない場合もあります。その場合、あなた自身が示談交渉をしなければなりませんが、十分な知識がありますか?
交通事故の示談には、法律が深く関わってきます。何も知識を持っていないと、良かれと思ったあなたの行動や選択が、結果的に「あなたの損として」返ってくることもあります。
この記事を読んで、しっかりと示談交渉の流れや注意点を身につけてもらえればと思います。
目次
交通事故における示談とは?
示談という言葉を聞いたことがあると思いますが、あなたは示談についてどのように理解していますか?
示談とは、簡単に言えば「裁判をせずに話し合いによって、慰謝料などの示談金を決定し和解する」ことです。
示談について確かな知識がないと、あなたは正当な慰謝料などの示談金を得られず、結果的にあなたが損をするということも起こりえます。
また、一度示談が成立してしまうと、後からやっぱり・・・と示談の内容を変更することができません。後から後悔しても遅いのです。
交通事故で被害を受けると、通院や入院をしながら、相手方と示談交渉をせざるを得ない状況もありえます。そのような状況で一から示談に関する知識をつけることは、なかなか無理があるでしょう。交通事故はいつ起こるかわかりません。大まかでも、示談の流れや注意点を知っていれば、もしものときにスムーズに対応できるでしょう。
交通事故の発生から示談成立までの流れ
(1)交通事故の発生
交通事故が発生したら、まずは行わないといけないことがあります。それが
・負傷者の救護
・警察への連絡
・相手の連絡先や相手方の保険会社の連絡先の確認
・事故状況の証拠化
です。これらは「【保存版】交通事故の被害者になったら、まず取るべき4つのこと」に詳しく書いていますのでしっかりと忘れずに行いましょう。
事故発生時に適切な処理をしておくことで、適正な慰謝料などの示談金を得ることが出来ます。
(2)入院、通院による治療
交通事故によって負傷を負った場合は、入院や通院による治療を行ってください。たとえ大した怪我ではないと思ったとしても、まずはしっかりと診断を受けておくことが大切です。
なぜなら、怪我は時間が経ってから痛むこともあります。後から痛んだときに初めて病院に行ったとしても、その痛みが交通事故による痛みなのか、そうでないのかは医者からするとわかりません。そうなると、相手側も「この怪我は私たちの交通事故とは無関係だ」と主張してきて、怪我の治療費や慰謝料の支払いに応じない可能性もあります。
また、怪我の治療途中に示談に応じるのも得策ではありません。なぜなら、まだ治療が終わっていない段階で示談に応じてしまうと、場合によってはそれ以降の治療費等の支払いが止められる可能性もあるからです。
示談交渉は、基本的には怪我が完治して、入院費や治療費、通院のための交通費などが確定したタイミングで始めると良いでしょう。
しかし、示談には時効がありますので、治療が長期化する場合には気を付けないといけません。(事故発生日から3年です。)適切なタイミングは弁護士と相談して決めるのが一番良いでしょう。
(3)症状固定、後遺障害の等級認定
交通事故による被害が重傷で、怪我が完治しない、または後遺症が残ってしまうようなときは、症状固定を待ちます。症状固定とは、「これ以上の治療は症状改善に効果がないだろう」といった状態のことです。そして、その時の症状の度合いによって、後遺障害の等級が認定されます。
後遺障害の等級は、慰謝料請求の際に重要な指標となります。もしあなたが、「後遺障害等級の認定に不服がある」、「今の等級は適正なのか知りたい」、「少しでも高い等級を獲得したい」と悩まれているのでしたら、お気軽に当事務所へお問い合せください。
(4)加害者側の保険会社との示談交渉
先ほども書きましたが、示談交渉は治療が終わってから、もしくは症状が固定されて後遺障害等級の認定が終わってから行うのがベストなタイミングです。
この示談交渉では、怪我の治療費や入院通院費、休業損害、逸失利益、慰謝料などを相手に請求します。相手側の保険会社は、少しでもあなたに支払う金額を少なくしようと交渉してきます。もしあなたが既に保険会社から示談金の提示を受けている場合は、弁護士に相談してみてください。
弁護士が窓口となって保険会社とやり取りをするだけでも、慰謝料などの示談金を増額できる可能性があります。当事務所の事例にもありますが、裁判をしなくても500万円以上も増額したケースがあります。これは決して珍しいことではないのです。
ぜひ、適正な金額を相手側に請求しましょう。
(5)示談成立
双方の納得をもって示談が成立します。相手側の示談金の提示額、相手側の誠意などに納得がいけば示談書をお互いに交わして示談が成立です。
一度示談が成立してしまうと、この件についてはたとえ弁護士であっても二度と話を蒸し返すことは出来ません。本当に適正な慰謝料などの示談金がもらえるのか、今の条件で示談をしてもいいのか、少しでも疑問に思われることがあれば、示談をする前に弁護士へ相談しましょう。
当事務所も含め、相談については無料で行ってくれる弁護士は非常に多くなりました。お気軽に最寄りの弁護士へご相談いただければと思います。その際は、ぜひ「交通事故に強い弁護士」へのご相談をお勧めします。
示談交渉から解決までの期間
示談は双方の納得をもって、はじめて成立します。交渉のみで折り合いがつけばいいのですが、そうはいかない場合もあります。交渉のみで折り合いがつかない場合は、裁判を起こし裁判官の手によって判断をしてもらうことになります。この場合はやはり時間がかかることになります。
ただし、示談交渉の場合、弁護士が介入することで解決までの期間を短縮できる可能性は大いにあります。保険会社 対 あなたの場合、保険会社側は何とかあなたをうまく丸め込めようと交渉してくることでしょう。場合によっては、「それなら裁判で決着を付けましょう」と吹っかけてくるかもしれません。
しかし、保険会社 対 弁護士の場合、弁護士は法に則って適正な金額を請求してくることは保険会社も重々承知の上ですので、裁判をしたところで、ある程度の結果は目に見えています。それによって無駄な時間と裁判費用を使いたくない保険会社は交渉のみで終わらせようと、こちらの要求に応じてくれることが多々あります。
一般的に示談交渉は交渉のみ場合で数か月、裁判となると半年から1年は解決までに要します。当事務所では負担の大きい無駄な裁判は極力避け、交渉のみで示談交渉が解決するように努めています。
示談金の相場
ここまでくると、「示談金に相場はあるの?」と疑問に思われるかもしれませんね。しかし、残念ながら皆さんに共通の示談金に相場はありません。
なぜなら、示談金には、治療にかかった金額、仕事を休んだ場合に得られるはずだった休職期間中の賃金、後遺症のおかげで失われた将来的な利益、精神的苦痛に対する慰謝料など、様々な要素が含まれます。
つまり、示談金はあなたの状況によって大きく変わるものなのです。ですので、一人一人の状況を精査しないと個人の適正な示談金は計算することができません。
これが逆に相手側の保険会社のつけ入る隙となり、多くの被害者の方が適正な示談金を得ることなく、泣き寝入りしてしまっている現状なのです。ぜひ、あなたは適正な示談金を得ることができるよう、弁護士へご相談いただければと思います。
示談交渉は自分で出来る?
示談交渉はもちろん自分で行うことは可能です。しかし、あまりおすすめは致しません。
交通事故による示談金には、様々な法要素が絡み合い複雑化しています。法のプロフェッショナルである弁護士ですら、交通事故を専門的に扱っていないと、手をあぐねいてしまうことがあります。そして、あなたが対峙する相手側の保険会社の担当者は、弁護士でないにせよ日頃から交通事故の問題を取り扱っている専門の方です。間違いなくあなたよりも知識は豊富でしょう。
想像してみてください。そんな知識の豊富な保険担当者が、自社の保険会社の負担が少しでも少なくなるように、言葉巧みにあなたに交渉をもちかけるのです。
ただでさえ、あなたは交通事故による怪我の休養や、仕事の休業などによって、精神的にも不安になっていることでしょう。そのような状態の中であなたは、知識の豊富な相手側の保険担当者とやり取りをしなくてはいけないのです。
示談交渉を弁護士に依頼するメリット
示談交渉を弁護士に頼むメリットとしては、「示談金を大幅に増額できる」可能性が多いことが挙げられます。当事務所の示談交渉の事例ですが、当初の保険会社の提示額よりも、弁護士が介入することによって500万円以上も示談金が取得できています。さらに裁判をせず保険会社との交渉のみで実現しています。
これは決して極端な例ではなく、ほとんどの場合で、弁護士が介入することによって示談金は大幅に増額ができるのです。
また、弁護士に依頼していただくことで、弁護士はあなたの代理として保険会社や加害者、加害者側の弁護士と直接交渉することが出来ます。
交通事故では、怪我の程度によっては入院や通院を余儀なくされる場合が多くあります。入院や通院をしながら、相手側との交渉や資料の準備などの対応は非常に骨が折れる作業です。そのような骨が折れる作業も弁護士に依頼いただくと、弁護士はあなたの代理として行うことが出来ます。面倒な作業や交渉は弁護士に任せて自分は治療に専念する。これは、実はあなたにとって非常に大きなメリットなのです。
示談交渉を弁護士に依頼するタイミング
では、示談交渉を弁護士に依頼するタイミングはいつ頃がベストなのでしょうか。
答えは「早ければ早いほど良い」です。極端な話、交通事故直後であっても良いのです。
調べてもらえば分かりますが、当事務所のように交通事故に特に力を入れている弁護士の場合、相談をする時間や期間によって料金を定めていません。多くの場合は着手金すらも不要で、完全成功報酬です。
弁護士に依頼していただくことによって、様々な場面で弁護士はあなたの代理人として動くことが出来ます。少しでもあなたが楽になり、適正な示談金を獲得できるように、ぜひ弁護士の力を活用してください。
示談交渉を行う際の心構えや注意点
それでは最後になりますが示談交渉を行う際の心構えと注意点を記したいと思います。
多くの方は示談交渉を行うのは初めてでしょう。弁護士に相談することも初めての方が多いのではないでしょうか。ぜひ、示談交渉に臨む前に、これらの心構えや注意点を思い出していただければと思います。
冷静な対応をする
交通事故の加害者、被害者に限らず、思わぬ事故に混乱してしまうことは仕方ありません。また、交通事故による怪我の治療や休職などによって、不安な気持ちになることもあるでしょう。
単なる物損事故や被害の少ない交通事故の場合はまだ良いですが、後遺症の残る事故や死亡事故の場合、高額な慰謝料、賠償金額となることがほとんどです。
非日常的なことは、ただでさえ頭が混乱しがちなものです。冷静に物事を判断するようにしましょう。
保険会社の言いなりにならない
相手が自動車保険に加入している場合、相手側の窓口は保険会社担当者となります。相手の保険担当者は、もちろん自社である保険会社の利益を守るため、あなたへ支払う示談金を少なく提示してきます。
基本的に相手の保険担当者があなたに対して持ちかけてくることは、相手側にとっての利益、すなわちあなたにとっての不利益となることもあります。相手もそれが仕事です。最終的にお互いが納得できるのであれば何も問題はありません。
しかし、あなたはこの記事を読んだことで、保険会社の意図は理解されたかと思います。また、適正な慰謝料などの示談金をもらうことが出来る可能性があることも知っているはずです。
ぜひとも、相手側の保険会社の都合に合わせることなく示談交渉を行っていただければと思います。