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『高次脳機能障害』の適切な後遺障害の申請で適切な賠償を獲得

投稿日:2019年1月31日 更新日:

交通事故によって、脳に後遺症が残ってしまうことがあります。
本記事では、脳の障害である高次脳機能障害についての説明や、適切な後遺障害の申請のポイントを説明します。

適切な後遺障害の認定を獲得することによって、適切な賠償を獲得しましょう。

高次脳機能障害とは?

交通事故などによって頭部(脳)を損傷することにより、認知機能に障害が起きた状態を高次脳機能障害と言います。

この認知機能とは記憶、思考や判断、感情など、脳の高度な機能のことで、脳のどの部分を損傷したかによって障害に特徴が表れます。

もし、あなたやご家族が交通事故で頭部を損傷した後に以下のような変化が見られた場合、もしかすると高次脳機能障害が起こっている可能性があります。

・記憶力が低下した
・不注意によるミスが多くなった
・自分で計画を立るなど、段取りが出来なくなった
・自己中心的になり怒りっぽくなった

高次脳機能障害は目に見える障害ではないので、適切な障害認定を目指すにはご家族のご協力が必要です。

高次脳機能障害の主な症状

記憶障害

記憶に関する様々な障害のことを記憶障害と言います。例えば、新しいことを覚えられなくなったり(短期記憶障害)、家族や友人の名前が出てこない(長期記憶障害)、ハサミの使い方など日常生活の単純作業が出来なくなる、などがあります。

注意障害

注意障害とは、注意力が低下して長時間労働が出来なくなったり、日常でぼんやりとすることが多くなったり、同時に2つの作業を並行して出来なくなったりする障害のことです。

遂行機能障害

遂行機能障害とは物事を順序立てて実行することが困難になる障害です。例えば料理でカレーを作るには、お米を研いで炊き、野菜を切って炒めて煮込みルーを入れまた煮込む、といった手順が必要となりますが、これらの作業が出来なったりします。また近所なのに迷子になることもあります。

社会的行動障害

社会的行動障害とは、脳の障害によって感情に障害が現れることによって、一般的に常識とされる行動が取れなくなることを言います。例えば怒りっぽくなったり、落ち着きがなくなる、子供じみた衝動的な行動を起こす、などがあります。

高次脳機能障害の後遺障害等級

高次脳機能障害の後遺障害等級は、障害の程度に応じて6つの等級が用意されています。1級と2級については必要な介護の程度、3級以下については可能な仕事の程度によって分類されています。

1級1号に該当するケース

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

障害の程度が非常に重く、「食事をとる」、「トイレをする」といった生命を維持するのに必要な行動においても、一人ですることができず、常に介護をする必要がある状態。

2級1号に該当するケース

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

1級と比べると障害の程度は軽いものの、食事やトイレなど生命を維持するのに必要な行動において、随時介護を要する必要がある状態です。常に介護が必要ではないものの、目を離すことが出来ない状態です。

3級3号に該当するケース

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

生活における介護の必要はほとんど必要ないものの、社会に出て仕事に就くことが難しい状態です。例えば、言われたことをすぐに忘れてしまったり、過度に怒りっぽく円滑な対人関係を築けない状態のことです。

5級2号に該当するケース

神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

単純な繰り返し作業程度であれば、仕事をすることが可能な状態です。判断が難しいですが、おおよそ健常者の4分の1程度の労働能力とされています。一緒に働く人の理解と援助が必要な状態です。

例えば飲食店の食器洗いなどで、食器を洗うという作業は出来ても、洗ったお皿を所定の位置に片づける、なくなった洗剤を補充するなどの自発的な行動ができなかったり、不注意で食器を割ってしまった場合にどうすれば良いのかわからずパニックになってしまうこともあるような状態です。

7級4号に該当するケース

神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

簡単な仕事であれば可能な状態ではあるものの、一般平均人と比べると明らかに能力が劣っている状態です。例えば約束を忘れたり、作業手順を覚えることが出来なかったりと、ミスが多く一人で仕事を任せることが難しい状態です。

9級10号に該当するケース

神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

一般的な仕事はおおよそ可能であるものの、危険を伴うような仕事に就くことが制限されている状態です。例えば、高所作業や車の運転などを要する職種が挙げられます。また、作業効率や作業持続力も一般平均人と比べると劣っている場合もあります。

高次脳機能障害における後遺障害申請のポイント

1. 事故直後に意識障害があった

高次脳機能障害の後遺障害認定には、交通事故直後に意識障害があったかどうかがとても重要になります。

また、意識障害の程度や期間も重要になりますが、原則として昏睡などの重大な意識障害が事故後6時間以上継続していたか、健忘症などの軽度の意識障害が事故後1週間以上継続していたかが判断の基準となります。

もし、交通事故後に意識障害があった場合は、それがわかる資料を集めて後遺障害申請をすることがポイントとなります。

2. 脳について検査所見がある

交通事故によって意識障害が起こったり、頭部にダメージを受けた場合はMRIやCT、脳波検査などによって脳に異常がないか検査をします。

もし、このような検査で脳内出血や脳室の拡大などの異常が確認されれば、高次脳機能障害として後遺障害認定される可能性がとても高くなります。

事故の内容によっては自身で頭部にダメージを受けたか分からない場合もあります。少しでも異常があるようでしたら、しっかりと検査しておくことをお勧めします。

3. 障害による症状が具体的にみられる

脳の障害には、新しいことが覚えられない記憶障害、集中力が続かない注意障害、物事を順序立てて行動できない遂行機能障害、怒りっぽくなる社会的行動障害などがあります。

後遺障害の認定にはこのような症状が具体的にみられるかがポイントとなりますが、医師ではどの程度の変化が起きているのか判断が難しい部分があり、身近な方の証言が必要不可欠となります。
もし事故後になんらかの変化が見られるのであれば、日付とともにメモ書きなどを残しておくと良いでしょう。

高次脳機能障害の慰謝料の相場

高次脳機能障害の慰謝料についての目安は以下の表のとおりです。
自賠責基準とは、自賠責保険から損害賠償を受ける場合の計算方法となる基準であり、被害者が受ける最低限度の補償という性格があります。

一方で裁判所基準(弁護士基準)とは、裁判の判例を基にした計算方法であり、損害賠償金の計算方法の中で一番高い金額になる補償という性格があります。

自賠責基準 裁判基準
(弁護士基準)
1級1号 1600万円 2800万円
2級1号 1163万円 2370万円
3級3号 829万円 1990万円
5級2号 599万円 1400万円
7級4号 409万円 1000万円
9級10号 245万円 690万円

交通事故による高次脳機能障害の高額賠償判例

判例1

【判例番号】
L07350423
【事件番号】
広島地方裁判所福山支部判決/平成29年(ワ)第40号
【判決日付】
平成30年6月21日
【判示事項】
片側一車線のカーブで被告運転の自動車がスリップし、対向車線側ガードレールに衝突した際に対向車線を走行する原告運転の自動車に衝突し、負傷した原告が、被告に対し、損害賠償を求めた事案。
【症状】
睡眠時間を除いた日中活動時間は、2~3時間に限られている。
また、平成26年5月に施行した高次脳機能検査では、記憶・注意・遂行などの知的能力低下が指摘されている。主に脳脊髄液漏出症によるものと考えている。
【後遺障害等級】
後遺障害等級9級10号

「神経系統の機能または精神に障害を残し、服することのできる労務が相当な程度に制限されるもの」

【後遺障害慰謝料】
690万円
【賠償額の総額】
2926万2342円

判例2

【判例番号】
L07231265
【事件番号】
東京地方裁判所判決/平成26年(ワ)第5935号、平成26年(ワ)第21091号
【判決日付】
平成29年3月16日
【判示事項】
当時小学生であった被害者が道路を横断中、加害者の運転する普通自動車と衝突する交通事故により、脳挫傷、頭蓋骨骨折、急性硬膜下血腫の傷害を負った事案。
【症状】
認知障害(記憶・記銘力障害、注意・集中力障害等)、行動障害(周囲の状況に合わせた適切な行動ができないなど)、人格変化(衝動性、易怒性、自己中心性等)の顕れとみられる行動が目立つ。

医師より
意思疎通能力:半分程度喪失
問題解決能力:半分程度又は大部分喪失
持続力・持久力:大部分喪失
社会行動能力:大部分喪失
と認定。

【後遺障害等級】
後遺障害等級3級3号

「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの」

【後遺障害慰謝料】
1990万円
【賠償額の総額】
1億1113万6094円

判例3

【判例番号】
L07251163
【事件番号】
水戸地方裁判所土浦支部判決/平成27年(ワ)第314号
【判決日付】
平成29年3月23日
【判示事項】
無免許運転でのスピード違反事故により同乗者に高次脳機能障害(後遺障害等級2級)を負わせた事故で、同乗者と同乗者近親者への慰謝料を認めた事例
【症状】
言葉が不自由で家族としか会話が成り立たない、昔のことを忘れていることが多く数時間前のことも忘れている、感情の起伏が激しく注意すると強く反発し、テレビを観ながら怒鳴るなどの症状が見られた。

医学的には、本件事故に起因する脳外傷による高次脳機能障害や身体性機能障害が残存しており、運動機能は正常であるものの、「日常生活の多くに不自由があり、社会生活が大いに阻害されている」、「日常生活の多くに見守りが必要な状況にある」、「公共交通機関は字が読めない、お金が数えられないなど身体的だけでなく大部分で介助が必要で、他の人にも迷惑をかけてしまう」などと判断されている。

【後遺障害等級】
頭部外傷に起因する神経系統の機能または精神の障害は、別表第1の2級1号に相当する。

視力障害は、別表第2の7級1号(1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの)及び13級3号(1眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの)に相当する。

右眼の調節機能障害は、別表第2の12級1号(1眼の眼球に著しい調節機能障害を残すもの)に相当する。

【後遺障害慰謝料】
2800万円
【賠償額の総額】
2億0278万7182円

高次脳機能障害の慰謝料増額のポイント

高次脳機能障害の慰謝料は、障害等級によって大きく異なります。
もし何らかの症状が現れているのであれば、より高い等級の獲得を目指すことが慰謝料増額のポイントとなります。

身体の障害とは違い、目で見てわかる障害ではないため、医師など第三者から見て障害の認識をしがたいのが高次脳機能障害です。
そのため、身近な家族などが症状に気付いてあげることが必要となります。

また、その気付いた点があれば、具体的な症状と気付いた日時をメモ書きしておくことで、医師への説明も容易となりますし、そのメモ書き自体が証拠となることもあります。

当事務所では経験を基により高い等級の獲得を目指します。お気軽にご相談ください。

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