あなたが信号停止中に、後ろから追突されたらどうしますか?あなたに全く過失はなくても相手の不注意により事故は起ってしまいます。
運悪くあなたが追突事故の被害者になったときにどのように対処すればいいのか。事故の直後は気も動転してしまって冷静な判断が出来なくなりがちです。
適切な対処を行わないと慰謝料が少なくなったり、あなたの保険の等級が下がってしまったりと、あなたにとって不都合なことが起こってしまいます。
あなたに全く過失の無い追突事故には適切な対処法で毅然と立ち向かいましょう。
目次
追突事故を起こされたらどうするべきか。ポイントは3つ。
まずは警察に通報して状況説明しよう
事故が起きてすぐにすべきことは2つあります。それが人命の救助と警察への通報です。怪我人がいれば救護が第一優先ですが、追突事故の場合は怪我の程度も軽症である場合が多いです。大きな怪我人がいなければ、まずは警察に事故が発生したことを通報しましょう。
基本的に警察への通報は加害者が行いますが、相手も人間です。気が動転しており、そこまで気が回らない場合もあります。様子を見て相手が警察へ通報しないようであれば、あなたから通報しても構いません。
警察が到着したら事故の状況説明です。追突事故の場合、あなたにはほとんど過失はないことでしょう。事故の状況をありのまま警察に伝えてください。
痛みは後から出てくることも。安易に物損事故で済まさない。
人身事故と物損事故ではあなたに支払われる慰謝料に大きな違いが出てきます。
人身事故とは、交通事故で人に死傷者(怪我人)が出た事故のことです。
物損事故とは、交通事故で人には被害はなく、車や壁など物に対してのみ被害が出た事故のことです。
現在身体に痛みがなくても後から痛みが出てくることがあります。もしかすると事故で興奮して痛みを感じないだけかもしれません。警察や加害者が「痛みがないなら物損事故で・・・」と言ってきても拒否してください。
「後から痛みが出てくることもあるので、念のために病院で診てもらってから物損事故か人身事故か決める。」と伝えれば大丈夫です。
加害者ならともかく、なぜ警察が物損事故にしたがるのか不思議ですよね。実は人身事故と物損事故だと、警察が作成する資料の量にかなりの差が出ます。
全ての警察がそうとは言いませんが、警察官の中には「面倒だから物損事故として処理してしまおう」と考える人もいるでしょう。もちろん後から物損事故を人身事故に切り替えることも可能ですが、後々面倒なことにならない為にもすぐに結論を出さないようにしておきましょう。
面倒だからとその場で示談しない
もちろん、その場で示談なんてしてはいけません。
加害者側は警察沙汰になりたくない、保険の等級が下がるのは嫌だ、など様々な理由で、あなたに目立った外傷がない場合、その場で車の修理代を出すからと強引に示談に持ち込もうとする人もいます。
しかし、先ほども申し上げたとおり、痛みは後から出てくることもあります。
「やっぱり痛みが出てきたから」「思った以上に車の修理費が高くついたから」と、後から治療費や慰謝料、車の修理費を相手に請求しても、一度示談が成立してしまうとそれ以上の請求は行えません。
どのような名目であれ、その場で相手から金銭を受け取るようなことは必ず避けましょう。あなたが示談金だと思わずに受け取った金銭を、相手が示談金だと言い張った場合、その金額で示談が成立してしまうこともあるので注意が必要です。
追突事故を起こされた場合の慰謝料はどれぐらい?相場は110万円。
交通事故の慰謝料は後遺障害の等級で大きく異なります。
追突事故の場合、怪我の多くは頚椎の捻挫、いわゆる「むちうち症」である場合はほとんどです。
むちうちの場合の後遺障害等級は14級となることが一番多いです。したがって、今回は後遺障害等級14級での慰謝料の相場をお伝えします。
なお、以下はあくまで後遺障害が認定された際の後遺障害慰謝料の相場です。
その他、通院や事故により受けた精神的苦痛に対する慰謝料も別途請求することができますし、治療費や損害賠償などの賠償金の総額については事故状況などにより異なります。
むちうち症の自賠責基準での慰謝料相場
自賠責基準はその名の通り、自賠責保険による慰謝料の基準です。
自賠責保険とは、法律によって全ての自動車に加入が決められている強制保険です。
自賠責保険では後遺障害の等級によって、慰謝料の金額が決められています。
むちうち症の場合、後遺障害の等級は14級となることがほとんどなのですが、自賠責保険の慰謝料は14級の場合は32万円です。
したがって、むちうち症の自賠責基準での慰謝料相場は32万円ということになります。
むちうち症の保険会社基準での慰謝料相場
加害者が任意保険に入っている場合、保険会社からあなたに慰謝料が支払われることになります。
この場合の慰謝料の金額は、その保険会社が事故による被害状況を考慮して、その保険会社の基準にて決めることになります。
保険会社は、被害者であるあなたに治療費、休業損害、慰謝料等を支払うことになりますが、保険会社は営利企業なので、できる限りあなたに支払う賠償金を少なくしようと考えます。
そのため、実際裁判になった場合に裁判所が認める賠償額よりも低額の賠償金で示談をしようとして、あなたを説得してきます。
保険会社の担当者はあなたよりも事故や賠償金に関して専門的知識を持ち合わせています。
そして多くの被害者の方が、相手側の保険会社に言われるがまま、本来もらるべき金額よりも低い賠償額で示談に応じてしまうのです。
本当に保険会社側の提示額が適正かだけでも、弁護士に相談するべきでしょう。
むちうち症の裁判基準(弁護士基準)での慰謝料相場
さて、自賠責基準や保険会社基準に対して裁判基準での慰謝料相場というものもあります。
裁判基準とはその名の通り、裁判の今までの判例などから導き出された慰謝料の基準です。
ほとんどの事例で、裁判基準は自賠責基準や保険会社基準の慰謝料の金額を上回ります。
後遺障害等級14級の場合の弁護士基準での慰謝料の相場は110万円です。
もし、保険会社からの提示額がこれよりも低い場合は、弁護士に相談することによって、増額できる可能性があります。
また、裁判基準とはいえ、必ず裁判しなくてはいけないわけではありません。弁護士と保険会社との交渉によって、裁判をせずに裁判基準での慰謝料の支払いが認められたケースも多数ございます。
事故の被害者になった場合、支払われるのは慰謝料だけじゃない?
よく、事故を起こされた!離婚をした!慰謝料だ!慰謝料を出せ!と「慰謝料」という言葉を耳にしますよね。
おそらく、このページに訪れたあなたも「追突事故 慰謝料」などと検索しませんでしたか?
確かに、事故の被害にあった場合や、不倫をされて離婚した場合には慰謝料は支払われます。
しかし、慰謝料と言うのは賠償金の中の一部分を指す言葉で、賠償金の全てではありません。
詳しくは「こちらの記事」にも書いていますが、事故の被害に遭われた場合、あなたに支払われるのは慰謝料だけでなく、治療費や休業損害、損害賠償などその他の賠償金を受け取れる可能性があるのです。
本ページでは弁護士に依頼した場合、むち打ち症の慰謝料の相場は110万円と書きました。
この110万円は事故の賠償としてあなたに支払われる金額の、一部分だと理解しておいてくださいね。